1997年リリース 3rdアルバム全12曲(JP盤)  
 
おすすめ曲
M05「Let Down」
M10「No Surprises」
M04「Exit Music」
M08「Electioneering」
  
おすすめ度:★★★★★


▽ Review

機械音の美しくも無機質な冷たさと人間味ある温もりと無気力な冷たさ。ある瞬間は機械チックなサウンドが美しさや優しさを運び、ある瞬間は冷たくあしらう。またある瞬間は無関心的に淡々と歌い、ある瞬間は感情的に訴えるように歌を運ぶ・・・まるでダ・ヴィンチの絵のように美しくもミステリアスに包まれた芸術の極み曲M5「LET DOWN」。個人的に思う。この曲こそRADIOHEAD史上最強の名曲だと。その他には、安穏探求歌M9「NO SURPRISES」。嘘つき政治家への皮肉歌M8「ELECTIONNEERING」がオススメ。

なお「OK COMPUTER」は1997年にリリースされた3rdアルバム。ロックにコンピュータ概念を持ち込んだ問題作と云われているが、それと同時に90年代を代表するアルバム、そしてこれからもロック史上に残り続ける不朽の名作と評価されている。個人的にもこのアルバムは現在持っているCDの中でも5本の指に入る名盤だと思う。


▽ RADIOHEAD - Biography

時代を代表するロックバンド・最重要バンドにして、ロックを愛するがゆえにロックを殺した・・・UKはオックスフォード出身の5人組、レディオヘッド。92年デビュー以来、まるで役になりきる俳優のような情緒豊かな声と、人間の躁鬱を全て表現したサウンドを武器に、時に繊細に時に壮大な美的楽譜から社会反抗的な暴力楽譜、無気力無関心的な冷淡楽譜まで・・・幅広いカテゴリの音源を駆使・演出しロック界を先導。しかし2000年、「悩む事」を趣味とする孤高の天才詩人率いるそのバンドは、「ロックは死んだ」と云う名言を世に残し、これまで準されていた「エモーショナルでナイーヴ」な音源を払拭。次世代のデジタル・サウンドに移行し、さらなる神化を遂げている。


▽ tanaの私的見解

今、世間ではレオナルド・ダ・ヴィンチの絵の謎についてアレコレ云われている。アートに疎い私でも知っている「モナリザ」、「最後の晩餐」には、ある暗号が仕掛けられていて、それを解くと歴史の真事実が見えてくると云う・・・。

ちょっと便乗しちゃいますが、そう云われると好奇心をそそられませんか?美しいものがより美しく見えちゃったりしませんか?陰とか謎とか付けられちゃうと光り輝くダイヤに見えちゃいませんか?
そうLET DOWNはそんな曲なんです。

あのRADIOHEAD特有のバンド・アンサンブルと新開拓エレクトロニクス・サウンドの絶妙なる混合。少しでも配合を間違うと駄曲に成りかねないような、そんなギリギリ・ラインの上に立っている危うさ。だからこそ一際輝くような美しさ。次章以降のデジタルサウンド移行への架け橋的且つ「ロックは死んだ」と云う発言に繋がりそうなメロディー・・・。

初めから美しく、謎や陰をつけてより美しく。どこか物悲しげなのに、何か怪しげに企んでいる様に。TVを見ていてそう思った。これはダヴィンチの絵のような歌だと。美しくもミステリアスな芸術曲だと・・・。サウンドに暗号を込めた世の中に対するメッセージメロディーだと・・・。


<音楽CD Vol,34>