1992年リリース 2ndアルバム全11曲(JP盤)  
 
おすすめ曲
M1「Only Shallow」
M7「Come In Alone」
                   
おすすめ度:★★☆☆☆


▽ Review
 
今聴いても古さを全く感じさせない、幾層にも重ねられて作られた幻覚ノイジー・ギター、そのサウンドに乗って聴こえてくる澄んだ女性ヴォーカル(?)(コーラス(?))が上手い具合に融合され、まさにマイブラ独特の夢幻的世界を堪能できるM1「ONLY SHALLOW」、M6「 I ONLY SAID」、M7「COME IN ALONE」。サイケを超えた夢幻的な世界・・・ハマるまで時間はかかりますが、ハマると病み付き。

なお「LOVELESS」は92年にリリースされた2ndアルバム。まるで幻覚を見ているかのような世界を広がさせる高音域ノイジーギターサウンドが特徴的(私的見解)で、マイブラ史上最高の傑作集(デビュー作(88年)、「ISN'T ANYTHING」と本作の2枚しかリリースしていませんが・・・)と云われている。


▽ MY BLOODY VALENTINE - Biography 

ギターリストのケヴィン・シールズらによって1984年、アイルランドはダブリンで結成されたバンド、マイブラこと「MY BLOODY VALENTINE」。多重録音による独特の高音域・ノイジーなフィードバック・ギターサウンドよって幻覚的且つ夢幻的な世界を演出し、シーンに絶大なる影響(シューゲイザー・ムーブメント)を与える。特に92年リリースされた「LOVELESS」は「ロックの名盤」、「シューゲイザー・ムーブメントの金字塔的作品」と賞賛されている。しかしその後、バンドは大義名分上活動を休止し、現在に至るまで約10年以上、新譜をリリースしていない。


▽ tanaの私的見解

普通ならば考えられない期間、新譜をリリースしていないマイブラ。もはや伝説化した一面をも醸しているのに、なぜファンはその間も待ち続けられるのでしょうか?それはやはり2ndアルバムに秘訣があるのかもしれないと思う縁があります。

90年代以降、色んなバンド・ライナーノーツに出会ううちに、私は必然的にマイブラと出会いました(サイケ系バンドやUKギター系バンドのライナー・ノーツには結構マイブラの名が出てたので・・・)。でも・・・最初は理解不能。ビートルズやオアシス等、ポップ色の強い一発聴いただけで馴染める音源を主とするバンドが好きだったので、マイブラのように複雑、ノイジー、それでいてサイケを超えた夢幻的音源(こういうのを多分、シューゲイザーと云うんだと思う)・・・全く理解できませんでした。むしろ折角の澄んだ声がノイジーなギターによってかき消されているようでイライラしました。夢幻的でも幻想的でもなく、単にメタルを軽くしただけじゃんか!っと皮肉った記憶もあります。

でも・・・時と共に、聴けば聴くほど不思議な程に良く思え、そして夢幻的と云う言葉の意味がわかってきます。ノイジーな高音ギターが・・・脳を機能不全に追い込んでいきます・・・。一種の程よい酔っ払い状態。これは多分なのですが、そこに魅力があると思います。ほら、お酒って、飲み慣れても、絶対に酔わないって事はないですよね。あんな感じです。また、子供の頃は不味いと思っていたのに、次第にはまっていく感覚も、まさにマイブラのようです。でも、それでいてお酒はドラックとは違って、常習犯になっても適量なら問題なしですし・・・まぁ、そんな馴染みがあって且つ夢幻的曲集「LOVELESS」があったからこそ、長期間でも聞くことを可能とし、ファンも待ち続けられるのでないだろうか?と思うのです。


<音楽CD Vol,19>